dawn,light

「光といふことを」人めには/みえぬものから/かがやくは/こころの底の/光なりけり

いま

桜が咲いているので、近所をぷらぷら散策ちう。
一日中、曇り空。
時折、雲間から太陽がきらりと顔を出す。
いま、少しだけ霧雨もどきが舞う。

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歩いていると風景の中で桃色に染まるところが見えて、桜のある場所が分かる。
「あ、此処にも、彼処にも」と桜を見つけては歩いていたら桜とベンチを見つけた。

其処は、咲く桜が間近にあるベンチで、不思議と誰もいない穏やかで静かに満ち満ちた場所だ。
いつもは通らない道を歩き桜を辿った先に其の場所はあった。

ほぼ満開で咲き誇る桜の木の下にあるベンチは屋根が無いので、霧雨にも少しあたる。
近くにある食堂に入れば桜が咲く様子だけを見て、霧雨に濡れることはない。

食堂に入ろうか、と一瞬、頭の中をそんな考えが浮かんだ。
けれど。
ふと、私はガラス張りのところから世界を見るのではなく、まるっと私全部で世界を味わいたいから、桜のそばにあるベンチに腰掛けているんだ、それを私が決めて選んだんだことだとわかった。

雨に濡れたり風に吹かれたりする。
それと同時に。
一瞬の雲間からの光を感じたり、空気の香りを嗅いだり、桜の花びらを身体で受け取ったり、鳥のさえずりを聞いたりも出来る。

私の豊かさは味わうことだから、いま、ここにいるんだ。
私の奥深く内側から湧いてきて身体中を駆け巡った。

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