暗やみの色
冬。
夜が寒いと、澄んだ夜空から星がよく見えるのはどういうことなのか。
全く知らない理系音痴です。
(正確には聞いても腑に落ちにくいので覚えられません)
個人的な雑感では、ゴリゴリの理系な人ほど実はとてもロマンティックで、世界に対して開いていると感じています。
何故なら、理系な人が心が開いている状態の澄んだ眼差しで見つめた世界を表現しているインスタレーションは、世界を優しい気持ちで見るキッカケを私に与えてくれるから。
(ゴリゴリの文系な人ほどリアリストというよりはペシミストな感じがします。)
そんな私は理系ではないけれど日本科学未来館が大好き。
大きな空間に浮かぶ地球や、私たちの情報がどんな風に処理されているかを体感的に知ることが出来る設備、そしてプラネタリウム。
プラネタリウムで一番好きな上映作品は「暗やみの色」。
職業柄、“暗闇”という単語にレーダーが反応したことがキッカケで知ることになったこのプログラム。
残念ながら常設上映ではなく、音楽を担当されたレイ・ハラカミさんを偲んで2011年に期間限定で上映された際に初めて体験。
「見えないものを、みてみたい」という瑞々しい眼差しを通して出会う世界の豊かさ。
プログラムのクライマックス、空間に浮かぶ言の葉たち。
天から空から流れ星のように言の葉を届ける声が降ってくる。
その声は、私の心を打つ。
“暗やみの色
ー見えないものを、みてみたい
闇がなければ光はなかった
闇は光の母”
見上げた夜空に広がるさまざまな世界。
目、というレンズが見えるもの。
音を通して伝わるもの。
漂う香りで知ること。
味わうことで広がるもの。
触れた瞬間に分かること。
昔、弟に教えてもらったダークマターという不思議な物質。
あることが分かっているのに見えないのだと。
不思議だけれど、きっと身近に溢れているであろうこと。
忙しく過ぎ行く流れに身を委ねていると、そういうもので溢れている世界の豊かさを忘れてしまう。
澄んだ眼差しで見つめる豊かな世界に出会いたくて、私は外に出ていくんだ。
また今日も夜空を眺めてみよう。
何故か分からないけど、きれいな星空を。